Japanese
English
症例報告
ウステキヌマブ長期投与中に湿疹様皮疹を呈する逆説的反応が生じた尋常性乾癬の1例
A case of psoriasis vulgaris in which a eczematous paradoxical reaction developed during long-term treatment with ustekinumab
鎌田 啓文
1
,
角田 加奈子
1
,
渡部 大輔
1
,
天野 博雄
1
Hirofumi KAMADA
1
,
Kanako TSUNODA
1
,
Daisuke WATABE
1
,
Hiroo AMANO
1
1岩手医科大学医学部皮膚科学講座
1Department of Dermatology, Iwate Medical University School of Medicine, Iwate, Japan
キーワード:
尋常性乾癬
,
IL-12/23p40阻害薬
,
逆説的反応
,
湿疹様皮疹
,
アトピー素因
Keyword:
尋常性乾癬
,
IL-12/23p40阻害薬
,
逆説的反応
,
湿疹様皮疹
,
アトピー素因
pp.857-862
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207113
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要約 58歳,女性.気管支喘息の既往あり.尋常性乾癬の治療のため,2014年2月よりインフリキシマブ(IFX)を導入したが2次無効となり,2017年2月よりウステキヌマブ(UST)に変更した.投与28週後にPASI(psoriasis area and severity index)クリアを達成した.しかし,UST導入3年9か月後に,頸部や腹部,前腕に瘙痒を伴い軽度鱗屑を付す紅斑が生じた.病理組織学的検査にて錯角化を伴う表皮肥厚,真皮血管周囲にリンパ球と好酸球浸潤がみられ,臨床・組織所見より湿疹様(eczematous)皮疹を呈した逆説的反応(paradoxical reaction : PR)(以下eczematous PR)と考えた.湿疹様皮疹を呈した例ではアトピー性皮膚炎の既往との関連も報告されている.自験例もアトピー素因を有していた.機序としては,生物学的製剤の投与によりTh1/Th17細胞系が抑制され,Th1/Th2細胞バランス不均衡が生じ,Th2/Th22細胞系の機能が亢進する可能性が考えられた.アトピー素因がeczematous PR発症の可能性を高めることも考えられ,生物学的製剤を投与時には,注意が必要と考えられた.
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