Japanese
English
症例報告
グリチルリチン製剤により生じた偽アルドステロン症の1例
A case of pseudoaldosteronism caused by glycyrrhizin
松井 恒太郎
1
,
牧野 輝彦
1
,
石井 貴之
2
,
清水 忠道
1
Kotaro MATSUI
1
,
Teruhiko MAKINO
1
,
Takayuki ISHII
2
,
Tadamichi SHIMIZU
1
1富山大学医学薬学研究部皮膚科学講座
2富山県立中央病院皮膚科
1Department of Dermatology, Graduate School of Medicine and Pharmaceutical Sciences, University of Toyama, Toyama, Japan
2Division of Dermatology, Toyama Prefectural Central Hospital, Toyama, Japan
キーワード:
低カリウム血症
,
偽アルドステロン症
,
グリチルリチン
,
横紋筋融解症
,
脱毛症
Keyword:
低カリウム血症
,
偽アルドステロン症
,
グリチルリチン
,
横紋筋融解症
,
脱毛症
pp.487-491
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207029
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要約 44歳,男性.円形脱毛症にセファランチンとグリチルリチン製剤(グリチロン®)の内服治療を行っていた.内服6か月後,特に誘因なく両下肢の痛みとしびれ,脱力が出現し,その後歩行困難となった.近医整形外科を経て精査加療目的で当院へ救急搬送となった.来院時,四肢の筋肉痛と頻呼吸を認め,両下肢の筋力低下と軽度の知覚低下を認めた.血液検査では,著明な代謝性アルカローシスと低カリウム血症,筋原性酵素の上昇を認めた.内分泌検査の異常を認めず,偽アルドステロン症による低カリウム血症および横紋筋融解症と診断した.グリチルリチンがその原因と推察され,カリウムの補充により症状は軽快した.グリチルリチン製剤は蕁麻疹・湿疹・脱毛症に保険適用をもつ皮膚科領域では頻用される薬剤の1つである.グリチルリチン製剤による偽アルドステロン症の副作用を十分に説明し,該当する症状がある場合は迅速な対応が必要であると考えられる.
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