Japanese
English
症例報告
外科的治療が奏効した多発性pseudocyst of the scalpの1例
A case of multiple pseudocyst of the scalp successfully treated with surgical intervention
林 航
1
,
下田 由莉江
1
,
早川 怜那
1
,
佐藤 洋平
1
,
大山 学
1
Wataru HAYASHI
1
,
Yurie SHIMODA
1
,
Reina HAYAKAWA
1
,
Yohei SATO
1
,
Manabu OHYAMA
1
1杏林大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Kyorin University Faculty of Medicine, Mitaka, Japan
キーワード:
pseudocyst of the scalp
,
外科的治療
,
膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎
,
慢性膿皮症
Keyword:
pseudocyst of the scalp
,
外科的治療
,
膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎
,
慢性膿皮症
pp.987-992
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206829
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要約 21歳,男性.5か月前より出現した頭部の皮下腫瘤を主訴に受診した.臨床像・MRI画像所見よりpseudocyst of the scalp(PCS)と診断した.約1か月間に病変が増大・融合し疼痛を伴うようになったため,切開の上内容掻爬・ドレナージした.術中,脂肪様組織を含む血性内容液の排出をみた.頭頂部腫瘤の病理組織像では,皮下組織に好中球を混じる炎症性細胞浸潤と肉芽組織,血栓を認めた.術前の予想に反し,瘢痕を残さず治癒した.自験例はPCS既報告例と比べ,病変が広範囲であり,頭部に多発性皮下腫瘤を形成する膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎との差異について考察した.両者は,病変の数と,瘢痕性脱毛,瘻孔,毛包破壊像の有無が鑑別点となる.これらより自験例はPCSと考えた.血栓形成が急速な増大に関与した可能性を考えた.多発・増大傾向を認めるPCSには積極的な外科的治療が有用であることが示唆された.
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