Derm.2022
継続は力なり
国本 佳代
1
1和歌山県立医科大学皮膚科
pp.156
発行日 2022年4月10日
Published Date 2022/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206675
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最近女性のキャリア形成に関して聞かれることが多く,私の大したことのないキャリアについて少し書かせていただきたいと思う.
気が付けば医学部を卒業して18年,中堅と言われる年代になってしまった.皮膚疾患の多くはその外見からQOLに大きく関わり,生きづらさを感じる患者さんも多い.それを良い状態に導けることに魅力を感じ,皮膚科に入局したのを思い出す.乾癬,アトピー性皮膚炎,悪性黒色腫などの難治性疾患に対して,先人の研究成果により続々と新規薬剤が開発され,治療による寛解維持が現実的となった.このような時代の皮膚科臨床医であることが嬉しく,最新の知見や治療に関われることを誇りに思っている.ただ,私生活では家庭と仕事の両立はやはり大変であった.医師として男性と同等に働き知識や技術を得たいと思う反面,妊娠出産育児はその喜びとともに体と精神に大きな負担となり,子供が成人になるまでそれは続く.仕事における責任と家庭における責任を両立させるのはとても難しいことであるが,育児を楽しみつつこれまで勤務を続けてこられたのはよき理解者である家族の協力とよき指導者がいたからである.私はさまざまな分野に興味を持ちすぎて専門と言える分野はないが,臨床力を伸ばしたいという希望を指導医は見守ってくれていた.5年間の病棟医長を経験し,これからも乾癬,レーザー治療,手術を中心に学び続けていきたいと思っている.今は若い先生の指導をすべき立場にもなり,大学では皮膚科への探求心と教育に情熱を燃やす指導者に刺激を受け,自分もそのようになりたいと大学に居座り続けている.
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