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院内の褥瘡対策チームに十数年前から参加しており,多職種で回診を行っている.数年前からは,下肢救済有志の会のメンバーにも加えていただいた.褥瘡対策チーム担当のWOCナース(wound ostomy continence nurse)と形成外科の先生がメンバーなので,私も褥瘡対策チームと兼任したような状況だった.褥瘡の院内発生は,最近は手術体位に関連する例や全身状態不良の方に多いが,特に増えている印象はない.一方,閉塞性動脈硬化症の足潰瘍や糖尿病性壊疽は増加しており,下肢救済有志の会が結成された.今のところ病院の正式なチームではないが,メンバーは循環器(血管)内科医,形成外科医,糖尿病内科医,人工透析室や糖尿病内科の看護師,WOC,理学療養士,義肢装具士の方々である.実際の診察や治療をその場で行うわけではないが,対象症例について,症状や血流評価の結果から,血管内治療の適応や方法の検討を行い,潰瘍や壊死への外科的治療についても,血流状態や装具作成やリハビリの観点も含めて検討している.大部分は糖尿病と人工透析の方で,合併症も多く,日頃の血糖管理や周術期の透析管理などについても注意が必要な例が多い.主に血管評価と外科的治療がメインになるため,皮膚科医の出番は少なく,足病の悪化に関連しそうな白癬や陥入爪などがあれば治療についてお話しする程度だが,私にとっては,血流評価の方法やデータの見方など以前より多少慣れてきて,足の潰瘍や壊疽の方が受診した場合に役立っている.潰瘍や壊死への局所治療を行うのみならず,血流評価の結果の確認や行われていなければ検査や紹介が必要になる.循環障害に起因する場合,その評価と血流改善がなければ,外用剤の選択だけでは軽快しない.それでも足の潰瘍や壊疽の最初の紹介先が皮膚科の場合も多く,窓口になる科として適切に評価や治療につなげるようなマネージメントが求められる.
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