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大塚 篤司
1
Atsushi OTSUKA
1
1近畿大学医学部皮膚科学教室
pp.300-301
発行日 2022年4月1日
Published Date 2022/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206617
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2021年4月より川田暁先生の後任として,近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授を拝命いたしました.私は2003年に信州大学医学部を卒業し,京都大学医学部附属病院にて研修を開始しました.その後,島根県立中央病院皮膚科で2年間,外来診療,入院患者の加療や手術を学び,2006年から京都大学大学院博士課程にて皮膚免疫とアレルギーの研究手法を習得いたしました.2012年からの2年間,チューリッヒ大学病院皮膚科にて免疫チェックポイント阻害薬の研究に携わりました.現在はアトピー性皮膚炎をはじめとする皮膚アレルギー疾患や悪性黒色腫(メラノーマ)を専門に診療と研究を行っています.
皮膚科の診療は近年,生物学的製剤と免疫チェックポイント阻害薬の登場で大きく変化しています.これまで治療が難しかった重症の乾癬やアトピー性皮膚炎が治療可能となり,従来の抗癌剤が全く効果のなかった悪性黒色腫は免疫チェックポイント阻害薬が効果的であることがわかりました.一方,治療の発展に伴い臨床の現場ではクリニカルクエッションが新たに生まれています.例えばアトピー性皮膚炎ではデュピルマブに加え経口JAK阻害薬も使用可能です.それぞれの使い分けに関して,効果を反映するバイオマーカーやフェノタイプとの相関を見つけ出すことが必要です.また,免疫チェックポイント阻害薬は日本人に多い末端黒子型に効果が乏しく,より効果的な薬剤の開発も喫緊の課題となっています.臨床現場で感じた課題を1つ1つを丁寧に拾い上げ,トランスレーショナル・リサーチにつなげていきたいと思っています.
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