Derm.2021
特定臨床研究について思うこと
立石 千晴
1
1大阪市立大学医学部皮膚科
pp.129
発行日 2021年4月10日
Published Date 2021/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206353
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臨床研究法が施行され,早くも3年が経とうとしている.当初,研究ができなくなるとささやかれ,今でも研究がしにくくなったという声を耳にする.特定臨床研究の可能性がでてくると,研究をするなと言われていると感じる研究者が多くいる.確かに,違反の内容によっては刑事罰や罰金が科せられるとなると,法に基づく特定臨床研究をすることに不安を覚えてしまうのももっともだ.3年前は,皮膚科のみで勤務していた私が,今では,不思議なご縁で倫理委員会事務局長も兼務している.倫理委員会の立場からさまざまな研究にかかわってみると,臨床研究法に対する考え方が変わってきた.もしかすると,臨床研究法は研究者にとって,とてもありがたいものかもしれない.法に基づく特定臨床研究として施行すると,審査料,保険料,モニタリングなど研究費が必要になる.とても大きなハードルだ.しかし,これらはより質の高い研究につながり,保険については研究者を守る制度でもある.私たちは,臨床医でもある.医師として限られた時間のなかで,より質の高い臨床研究をしようとしたとき,必然的に必要な研究方法に導いてくれるという意味では法のもとでの特定臨床研究は案外悪くないと思いはじめている.研究費に余裕があれば研究支援を依頼すると,さらにミスが減りより確実にデータを取得でき,よりよい研究結果が得られる.そうなると,研究を始めるにあたり研究費の獲得が鍵になるように思えてきた.研究費の公募をさがしてみようと思う.
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