Japanese
English
症例報告
腹部大動脈瘤ステントグラフト留置部再拡張と血栓に伴う消費性凝固障害により生じた右前腕血腫の1例
A case of hematoma on the right forearm caused by consumption coagulopathy associated with re-dilation and thrombus after stent-graft treatment of the abdominal aortic aneurysm
石川 真衣
1
,
大西 一德
1
Mai ISHIKAWA
1
,
Kazunori OHNISHI
1
1前橋赤十字病院皮膚科
1Division of Dermatology, Japanese Red Cross Maebashi Hospital, Maebashi, Japan
キーワード:
慢性播種性血管内凝固症候群
,
消費性凝固障害
,
腹部大動脈瘤
,
血腫
Keyword:
慢性播種性血管内凝固症候群
,
消費性凝固障害
,
腹部大動脈瘤
,
血腫
pp.765-769
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206155
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要約 86歳,男性.初診1か月ほど前に,右前腕に結節を形成し,結節表面から出血が続くため当科を紹介受診した.止血を目的に結節を切除し,病理所見より血腫と診断した.血液検査では血小板・フィブリノゲンの減少,FDP・D-dimerの上昇があり播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)と診断した.CT検査では腹部大動脈瘤ステントグラフト留置部に血栓を形成し大動脈瘤が拡張していた.ステントグラフト留置部再拡張と血栓形成に伴い生じた消費性凝固障害による血腫と診断し,新鮮凍結血漿投与と圧迫で止血した.大動脈瘤に合併する凝固異常は慢性DICであり,local DICもしくは消費性凝固障害と称される.皮膚科領域でも稀には凝固異常による皮膚症状を診察する機会がある.止血困難を生じる場合には,慢性DICを起こしうる疾患の存在を念頭に置いて検査を行い,患者ごとに適した治療を選択する必要がある.
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