Derm.2020
+αを考えながら
宮野 恭平
1
1埼玉医科大学皮膚科学教室
pp.164
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206049
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大学では初診,再診,乾癬外来の他,外来手術を週1回担当している.その中で,ほぼ毎週神経線維腫症1型の患者さんの腫瘍切除を行っている.大半の切除オーダーは『●の部位の腫瘍を1時間で可能な範囲切除』(故 倉持朗教授はいつもこのオーダーでした)と,シンプルかつざっくりしたものである.患者さんの立場からすると,手術は希望したものとはいえ,苦痛な時間となる.そのような時間の中でも,より満足してもらうには,丁寧に,かつなるべく多くの腫瘍を切除することではないだろうか.普段,私は『+αを考えながら』診療を行うよう心がけている.終了予定時間になっても(後に控える患者さんの手術内容にもよるが),「あともう少し,この部分だけ切除して終わりにしましょうか」と提案すると,断る患者さんはまずいない.むしろ,1か所でも多く切除できたことに感謝される.大したことをやっているわけではないが嬉しく思う.
乾癬やアトピー性皮膚炎のように,生物学的製剤の登場により劇的な改善が期待できるようになった疾患もある一方で,いまだ経過を慎重に診ていく以外ない疾患もまだまだ多い.このような患者さんを前に歯痒い思いをすることもある.自分が患者さんの立場であれば,どのような診療をされたら,またどのような“+α”があれば,前向きになり嬉しい思いをするだろうか.
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