Derm.2020
皮膚科医としての幅を考える
福永 淳
1
1神戸大学大学院医学研究科内科系講座皮膚科学分野
pp.81
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206023
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大学の初診外来には自分の専門としている蕁麻疹,アナフィラキシー,発汗異常症などの患者さんがよく紹介されてくる.外勤先での外来と比べると,これらの疾患の患者の診察をしていると原因検索や全身性疾患との鑑別作業が必要となることが多く,皮膚科診療として何か違和感を感じることも多い.「この違和感は何だろう」と考えていたとき,診察時に皮疹が出現していない疾患が自分の専門分野になっていたことにBSL学生さんからの指摘で気づかされた.そのためこれらの疾患では皮膚科医の基本診察である視診はそれほど重要ではない.皮膚科診察技法の中心である発疹学を学ぶのに不向きな対象疾患であることについては,実習に来ている学生さんに対して申し訳なく思っている.一方では,これらの疾患では患者さんとのコミュニケーションを通じた問診作業が診察上非常に重要であり,総合内科における診察と類似した要素があるのではないかとも感じている.
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