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連載 プライマリ・ケアのための呼吸・循環器診療⑫
心電図―幅の狭いQRSの頻拍
Diagnostic Approach for Cardiovascular and Respiratory Diseases in Primary Care(12)―Electrocardiogram:narrow QRS
宮崎 利久
1
Toshihisa Miyazaki
1
1宮崎クリニック
1Miyazaki Clinic
pp.337-343
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100525
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1はじめに
幅の狭いQRSの頻拍(以下narrow QRS頻拍)はQRS幅が0.10秒以内の頻拍をいい,QRS波形も原則として洞調律時と同様であり,後項のwide QRS頻拍と異なりST-Tの変形はないかあっても軽微である.これは順行性房室伝導が生理的な刺激伝導系,すなわち房室結節→His束→左右の脚→プルキンエ系を介し,左右の心室が同期的に興奮するためである.ただし,高度の頻拍時には心室内変行伝導などのためにS波の増大やST-T変化を伴うこともある.
narrow QRS頻拍は様々な機序の頻拍を包括し(表1),臨床的頻度も後項のwide QRS頻拍より高い.動悸発作や失神などの臨床症状を呈するnarrow QRS頻拍としては心房細動が最も多く,次いで房室回帰性頻拍(AVRT)や房室結節回帰性頻拍(AVNRT)などのいわゆる発作性上室頻拍の順である.
narrow QRS頻拍の正確な鑑別診断は心臓電気生理学的検査(EPS)によらなければならないことも少なくないが,心電図をじっくりと読解すればかなりのところまで診断を絞り込むことができるし,それによって当座の対処法(治療法)も自ずと明らかになる.
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