Japanese
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症例報告
プロピルチオウラシル内服によるANCAの上昇が病態に関与したと考えられた下腿潰瘍の1例
A case of drug-induced ANCA associated leg ulcers caused by propylthiouracil
菅野 莉英
1
,
鎌田 麻子
1
,
近 祐次郎
2
Rie SUGANO
1
,
Asako KAMADA
1
,
Yujiro KON
2
1砂川市立病院皮膚科
2砂川市立病院内科
1Division of Dermatology, Sunagawa City Medical Center, Sunagawa, Japan
2Division of Rheumatology, Sunagawa City Medical Center, Sunagawa, Japan
キーワード:
プロピルチオウラシル
,
抗甲状腺薬
,
下腿潰瘍
,
ANCA(antineutrophil cytoplasmic antibody)関連血管炎
Keyword:
プロピルチオウラシル
,
抗甲状腺薬
,
下腿潰瘍
,
ANCA(antineutrophil cytoplasmic antibody)関連血管炎
pp.757-761
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205834
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要約 82歳,女性.1984年に甲状腺機能亢進症診断後より,プロピルチオウラシル(PTU)内服中であった.2017年7月初旬,下腿に紫斑と赤色丘疹が出現,紫斑は急速に潰瘍化し,各種治療に反応しなかった.8月末の血液検査で抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)陽性となり,長期にわたるPTU内服歴があることから,PTUによるANCA上昇が病態に関与したと考えられた皮膚潰瘍と診断した.プレドニゾロン(PSL)30mg/日を内服開始したところ,潰瘍は急速に上皮化し,PTU中止によりANCAも低下した.PTUは抗甲状腺薬として使用される薬剤であるが,比較的高率にANCAを誘導し,一部で薬剤誘発性ANCA関連血管炎を引き起こす.PTU誘発性ANCA関連血管炎は薬剤の中止により予後良好な経過を期待できる疾患だが,その頻度は比較的稀で,かつ内服から発症までの期間に相関性がないことから関連が察知されにくい.そのため難治性皮膚潰瘍の鑑別疾患としてこの疾患を認識しておくことが重要である.
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