マイオピニオン
ハンセン病の現状
石井 則久
1
Norihisa ISHII
1
1国立療養所多磨全生園
pp.660-661
発行日 2019年8月1日
Published Date 2019/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205812
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1. はじめに
Hansen(ハンセン)病が皮膚科の世界で話題になることはほとんどなくなった.患者がいないことが大きいが,研究でも大きな進展がなく,興味や関心の外になってしまった.
しかし,ハンセン病を識ることで,皮膚科医の存在理由である「正常皮膚と異なる変形,変色,変化を治す」という意味を深慮すべきである.目に見える変形,変色,変化などの皮膚病変は人々から忌み嫌われ,時に偏見・差別も生み,人権問題まで起こすのである(図).皮膚病変を改善・軽快・治癒,そして正常の状態を保つことが皮膚科医に求められている.
変形・変色などの皮膚病変に対する偏見・差別は日本のみでなく世界に,それも太古からの共通した問題であり,その中でハンセン病は第一に挙がるものである.病気に対する国際的な援助,救済,そして国際協力に立ち上がったのもハンセン病が最初であった.
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