Derm.2019
乾癬の専門外来
小川 英作
1
1信州大学医学部附属病院皮膚科
pp.182
発行日 2019年4月10日
Published Date 2019/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205743
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私は2010年に信州大学に赴任しました.そして,乾癬の専門外来を新たに開設するように指示されました.それまでも,前勤務先で乾癬の治験などを行っていたため,乾癬の診療について少しずつ学んでいました.ただ,TNF-α阻害薬の治験が終わったばかりの頃であり,治療選択肢があまりなく,特に乾癬性関節炎や膿疱性乾癬の診療に慣れていない状況でした.今思うと,乾癬専門外来開設の主旨は,生物製剤治療と治験に対応することと,乾癬の臨床研究に適応することであったかと思います.実際,この後から治験が山のように舞い込んできまして,現在では,治験に取り組んだ製剤も含め7種類もの生物製剤が実際に使用できるようになりました.内服薬や混合の軟膏も登場しました.現在も乾癬の治験を実施しています.また,当科の乾癬臨床研究としてアンケート調査や,E-FABPと乾癬病勢の関連性の研究を行い,乾癬学会で演題発表することや論文にして成果を公表することもできました.治験などの乾癬診療やアンケート調査など臨床研究を通して,県内のさまざまな先生方との交流や病診連携を深めることもできました.現在,患者さんからの要望もあり,信州における患者会の創設に取り組んでいます.今後も乾癬診療に総合的に取り組んでゆき,この経験を生かして他の疾患でも同様のアプローチが取れたらいいのではと思っています.
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