特集 内科医に求められる他科の知識―専門家が伝えるDo/Don’t
第6章 皮膚科
乾 癬
多田 弥生
1
1帝京大学医学部皮膚科学講座
pp.1931-1934
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1931
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乾癬とは
乾癬は慢性の炎症性皮膚疾患であり,臨床的には厚い鱗屑と境界明瞭な紅斑を特徴とし,しばしば痒みを伴う(図1a).好発部位は被髪頭部,四肢伸側,腰臀部であるが,爪や外陰部も含めて,全身の皮膚に生じうる.発症年齢は20~50歳代が多く,日本人の0.3%に発症するとされる.その病因としては,多因子遺伝や薬剤による誘発,細菌感染,免疫学的異常,表皮細胞の分化,増殖の異常などが指摘されているが,不明な点も多い.乾癬の病型には尋常性乾癬,関節炎を伴う乾癬性関節炎(図1b),発熱など全身症状を伴う膿疱性乾癬,ほぼ全身が乾癬の皮疹で覆われる乾癬性紅皮症,細菌感染を契機に生じる滴状乾癬などがある.乾癬性関節炎と関節リウマチのそれとを鑑別するうえで重要な特徴としては,distal interphalangeal(DIP)優位,左右非対称性,リウマチ因子陰性,リウマチが滑膜炎であるのに対し乾癬性関節炎は付着部炎,といったものがあげられる.
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