Derm.2019
井戸端会議的外来
岸部 麻里
1
1旭川医科大学皮膚科
pp.189
発行日 2019年4月10日
Published Date 2019/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205746
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井戸端会議とは,その昔,長屋の井戸の周りで,主婦が水仕事をしながら世間話や噂話に興じた様を言い,生活様式の変化した現在は主婦間の世間話を意味する.私は,皮膚科医だが,主婦でもあり,井戸端会議に若干の憧れがある.というのも,奥様方と顔を見合わせて話に興じる機会がほとんどなかったからである.子供の参観日は,親切なママ友からメールで様子を教えてもらうという横着ぶり.町内会の集まりでは,効率よく作業を終えることに集中するあまり,黙々と手を動かすのみ.人見知りもあって,世間話に混ざるのは敷居が高いと感じていた.
しかし,最近ふっと「自分の外来って,井戸端会議っぽいかも」と思う.医師らしく見えないのか,女性だから気安いのか,世間話を振られたり,愚痴をこぼされたりすることが多い.一応,診察なので,時間的・金銭的負担に見合う何かを提供せねばと,会話を通して患者さんの求めるものを探っていく,いわゆるメディエーション的解決を試みてはみるものの,単なる雑談で終わってしまうことが多く,反省する毎日である.
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