--------------------
文献紹介 ヒト皮膚常在菌由来の抗菌活性物質は黄色ブドウ球菌に対する防御活性を持ち,アトピー性皮膚炎患者で不足している
太田 志野
1
1慶應義塾大学
pp.523
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205460
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
マイクロバイオームは免疫系に関与し,ヒトの健康に影響を与える.本論文では,ヒト皮膚常在菌が,アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)を悪化させる因子である黄色ブドウ球菌に対し抗菌活性を有することで,宿主防御に関与するかを検討した.
AD患者49人および健常人30人の皮膚から細菌を収集し培養,解析を行った.単離されたコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase-negative Staphylococcus:CoNS)の黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性の頻度は健常人と比較しAD患者で低く,黄色ブドウ球菌の培養陽性率はAD患者で有意に高かった.また,CoNSの中で,抗黄色ブドウ球菌活性を持つ種は,主にS. epidermidisまたはS. hominisであることが判明した.抗菌活性物質はCoNSが産生する抗菌ペプチドSh-lantibiotic-α,βとして同定され,ヒト抗菌ペプチドと相乗作用を持つことが示された.これらのCoNSをマウスやヒト皮膚に貼付すると黄色ブドウ球菌のコロニー形成は有意に減少し,生体下やヒト皮膚での抗黄色ブドウ球菌活性が確かめられた.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.