Japanese
English
症例報告
灯油誤飲による肺化膿症を併発した灯油皮膚炎の1例
A case of kerosene dermatitis with lung abscess
渡邉 直樹
1
,
笹田 佳江
1
,
後藤 洋輔
2
,
早川 彰紀
1
Naoki WATANABE
1
,
Yoshie SASADA
1
,
Yosuke GOTO
2
,
Akinori HAYAKAWA
1
1公立陶生病院皮膚科
2公立陶生病院呼吸器内科
1Division of Dermatology, Tosei General Hospital, Seto, Japan
2Division of Respiratory Medicine and Allergy, Tosei General Hospital, Seto, Japan
キーワード:
灯油皮膚炎
,
誤飲
,
化学性肺炎
,
肺化膿症
Keyword:
灯油皮膚炎
,
誤飲
,
化学性肺炎
,
肺化膿症
pp.294-298
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205352
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要約 85歳,女性.認知症の既往あり.2日前からの倦怠感,前日からの37℃台の発熱が持続するため受診した.灯油臭が著明で右臀部,両大腿,腹部にびらんを伴う体表面積の約20%に及ぶ紅斑があった.また胸部CTで両肺野に浸潤影を認め,患者の記憶は曖昧であったが灯油皮膚炎と灯油による化学性肺炎として入院加療となった.エキザルベ軟膏®外用で皮膚症状は速やかに改善したが,第5病日より呼吸苦と咳嗽が出現した.CTで両肺野に肺化膿症を疑う浸潤影と胸水貯留を認めた.その後利尿剤と抗菌薬加療で徐々に改善したため,第43病日に退院した.灯油中毒では化学性肺炎が最も重篤になりうるが,時に肺化膿症を続発する症例が散見される.これまでの灯油誤飲による肺化膿症の報告ではドレナージや肺葉切除といった外科的治療が選択されていることが多いが,自験例では保存的加療で良好な経過をたどった.
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