マイオピニオン
皮膚外科を学ぶということ
中村 泰大
1
Yasuhiro NAKAMURA
1
1埼玉医科大学国際医療センター皮膚腫瘍科・皮膚科
pp.1034-1035
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205262
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1. 皮膚外科手術は皮膚科医,形成外科医のどちらが行うべき?
皮膚疾患の治療で外科手術が最も適切な治療と判断された場合,果たして皮膚科医,形成外科医のいずれが手術すべきであろうか? 「皮膚外科」とは,「皮膚科学の知識が基本になる疾患の手術治療学」と定義される.この定義に基づけば,皮膚外科手術に携わる限り,皮膚科学の十分な知識があることが不可欠である.もし皮膚科学の知識が全くない形成外科医が存在するなら,そのような形成外科医は皮膚外科手術に従事すべきでない.一方,皮膚科学の十分な知識を有するも,全く手術の修練を受けていない皮膚科医が,見よう見まねで手術することがあれば,これは患者への傷害行為に等しい.もしこのような皮膚科医が存在するなら,ましてや科の収益のためだけにこのような行為がまかり通っているとしたら,絶対に許されないことである.
皮膚外科手術が必要な患者にとって不利益なのは,手術の修練を受けていない皮膚科医が,皮膚科学の知識のない形成外科医に手術を丸投げするケースである.「連携して診療する」という言葉は一見理にかなった美しい響きに聞こえるが,これでは,皮膚科医は手術を依頼する形成外科医に対して適切な術式のアドバイスはできないし,形成外科医は皮膚科学の知識のないまま,全く不必要と考えられる過剰・過大な手術や再建を行ったりすることが危惧される.このような連携診療ならば患者にとってはむしろ害悪である.
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