Japanese
English
症例報告
頭部結節によって発見された腎細胞癌の1例
A skin nodule leading to the diagnosis of renal cell carcinoma
大矢 和正
1
,
田口 詩路麻
1
,
上村 舞衣
1
,
佐々木 正浩
2
,
島居 徹
3
Kazumasa OYA
1
,
Shijima TAGUCHI
1
,
Mai UEMURA
1
,
Masahiro SASAKI
2
,
Toru SHIMAZUI
3
1筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター総合病院水戸協同病院皮膚科
2茨城県立中央病院茨城県地域がんセンター形成外科
3茨城県立中央病院茨城県地域がんセンター泌尿器科
1Division of Dermatology, Mito Kyodo General Hospital, Mito, Japan
2Division of Plastic and Reconstructive Surgery, Ibaraki Prefectural Central Hospital, Kasama, Japan
3Division of Urology, Ibaraki Prefectural Central Hospital, Kasama, Japan
キーワード:
転移性皮膚癌
,
腎細胞癌
Keyword:
転移性皮膚癌
,
腎細胞癌
pp.709-713
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205185
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要約 86歳,女性.初診の10日前から生じた自覚症状のない頭部の皮下結節を主訴に当科受診.右後頭部に弾性軟で,拍動のない20mm大の腫瘤を認めた.精査希望せず初診から5か月後に,さらに結節の増大を認め受診した.右後頭部に弾性軟で,境界明瞭な一部血痂を伴う拍動のない浸潤性暗赤色局面を認め,皮疹内に10mm大のドーム状結節を2つ伴っていた.頭部血管肉腫などを疑い,一部皮膚生検施行した後,手術を計画したが,術前CTで左腎に93mm大の腫瘤と,両肺・甲状腺等に転移を疑う小結節を認めた.生検病理組織では,淡明な異型細胞の胞巣を認め,免疫組織染色と併せて腎細胞癌の頭部皮膚転移と診断した.手術は中止し年齢を考慮し,緩和ケアの方針となった.しかし腫瘤の増大と出血による貧血が進行し,形成外科にて切除および皮弁形成術を施行された.頭部に出現した結節では腎細胞癌の鑑別を念頭に置く必要がある.また高年齢の患者に生じた転移性皮膚癌であっても,quality of lifeを考慮し初期に切除を検討すべきであったと反省した.
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