Derm.2017
凍結療法の松竹梅
鬼頭 昭彦
1
1京都大学大学院医学研究科皮膚科学
pp.124
発行日 2017年4月10日
Published Date 2017/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205084
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これまでに,数え切れないほどのイボを凍結してきた.研修医の頃は,早く治るように強めに凍結すれば痛すぎると文句を言われ,逆に処置時に痛い痛いと叫ぶので凍結を軽めにするとなかなか治らないと文句を言われ,未熟な私は「どうせえっちゅーねん」と心の中でキレていた.しかしこれは,「どうせえ」と患者さん本人が思っているのか尋ねない私の大きな間違いであった.今では,強い痛みや水疱形成を我慢してでもとにかく早く治したい松コース,治療期間が長くなってもいいから痛みを最小限にして欲しい梅コース,中間の竹コースから最初に患者さん本人に選択してもらっており,前述のような文句はゼロになっている.鶏眼処置も同様に松竹梅の3コースから選択してもらうことで,処置時の軽微な出血や,処置後も歩行時の痛みが残ることに文句を言われることはなくなっている.ちなみに,昨年梅コースを選択された患者さんは1名のみであったが,小児でもお年寄りでもなく,顔貌も体格もいかつい空手師範の中年男性であった.こちらで勝手に判断しないことが重要と再認識した.
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