Japanese
English
症例報告
左側腹部に生じた汗管腫癌の1例
A case of syringomatous carcinoma on the left side of abdomen
根岸 亜津佐
1
,
石河 晃
2
,
岩渕 千雅子
1
Azusa NEGISHI
1
,
Akira ISHIKO
2
,
Chikako IWABUCHI
1
1公益財団法人日産厚生会玉川病院皮膚科
2東邦大学医療センター大森病院皮膚科
1Division of Dermatology, Nissan Tamagawa Hospital, Tokyo, Japan
2Department of Dermatology, Toho University Omori Medical Center, Tokyo, Japan
キーワード:
syringomatous carcinoma
,
汗管系悪性腫瘍
,
microcystic adenexal carcinoma
,
無色素性基底細胞癌
Keyword:
syringomatous carcinoma
,
汗管系悪性腫瘍
,
microcystic adenexal carcinoma
,
無色素性基底細胞癌
pp.795-799
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204884
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要約 89歳,男性.6年前より左側腹部に紅色結節が出現した.自覚症状はなく徐々に拡大し,中央の隆起部分より出血し当科を受診した.初診時,左側腹部に15mm大の境界明瞭な弾性硬で広基有茎性の紅色結節を認め,中央にびらんの形成があった.ダーモスコピーでは淡紅色から白色調で,中央のびらんと,樹枝状の毛細血管増生がみられた.皮膚生検病理組織像で真皮浅層から深層にかけて核異型・核分裂像のある腫瘍細胞が索状構造と,1〜2層の立方上皮よりなる管腔様構造を形成し,汗管系悪性腫瘍を考えた.全身検索では腹壁への浸潤はなく転移所見を認めず,腫瘍辺縁から1cm離して筋膜直上で全摘出術を施行した.全摘標本の免疫染色で,CEAは管腔構造内腔が陽性,EMA,S100蛋白,p63はいずれも陽性,Ber-EP4は陰性で汗管腫癌(syringomatous carcinoma:SC)と確定診断した.腹部に生じたSCはきわめて稀で,転移は少ないが局所再発が多く,十分な局所切除が必要である.
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