臨床医のプライマリ・ケア オンコロジー
Primary physician for women
皮膚の悪性腫瘍
大原 国章
1
,
久木田 淳
1
Kuniaki Oohara
1
,
Atsushi Kukita
1
1東京大学医学部皮膚科学教室
pp.541-544
発行日 1982年7月10日
Published Date 1982/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206651
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本稿では,固型皮膚悪性腫瘍のうちで臨床上遭遇することの多い,有棘細胞癌(Squamous Cell Carcinoma,以下S.C.C.),基底細胞上皮腫(Basal Cell Epithelioma B.C.E.),悪性黒色腫(Malignant Melanoma,M.M.),Bowen病,Paget病について述べることとし,特に外陰部発生例を中心とする。
一般に,皮膚の悪性腫瘍は頻度の低い疾患であり,筆者が過去8年間(昭和49年〜56年)に経験した例数はS.C.C.45例,B.C.E.60例,M.M.58例,Bowen病25例,Paget病29例,その他25例の計242例であり,東大病院皮膚科外来患者の0.33%であった。これらのうちで外陰部発生例はS.C.C.3例(男2,女1),B.C.E.4例(男3,女1),M.M.2例(男1,女1),Bowen病2例(男1,女1),Paget病24例(男16,女8)であり,合計35例で皮膚悪性腫瘍全体に対する割合は14.4%であった。外陰部皮膚悪性腫瘍の中では陰部Paget病が約7割を占めている。外陰部悪性腫瘍を論ずる際,婦人科,泌尿器科,皮膚科では,それぞれ立場,対象疾患,論点が若干異なってくることを前提としておく必要があろう。
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