マイオピニオン
電子顕微鏡のすすめ—楽しみは電顕によるDENKEN(思考を意味するドイツ語)の日々偲ぶとき
熊切 正信
1
Masanobu KUMAKIRI
1
1福井大学
pp.10-11
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204270
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突然のオヤジギャグですみません.表記タイトルの原稿依頼を受けたので副題のように読み替えてみました.2013年3月をもって福井大学を退任した身を理由に断ろうかと考えたのですが,若い研修医に伝えたいことが私にはある.
学会こそが勉強の場と考えていた私は,出席の機会を与えられたとき,すべての演題に最低1つは質問するぞと決めて前もって勉強した.某大学教授から「そんなに言うのなら壇上にあがってきてどこが気にいらんのか示してみろ」と言われ,意気揚々と駆け上り,ここは違うと指摘して粋がったことがある.思えば跳ね上がりもいいところであった.その当時に比べ,今日の学会はお通夜の寂しさである.素っ気ない発表の多いこと.口演なりポスターを見ても,大切な経験を皆の共有の財産としていこうという意気込みを感じない.検査結果にしても画像にしても,駆使して論陣を張るにしても若者らしい活力を感じさせない.もちろん,少数ではあるがよくやっている方がいる.私も若かったら同じようなことをしてみたかったと,うらやましくなることもある.しかし,多くは,質疑応答の場で,判断根拠を質しても明快な回答が得られない.今そこに映写されている所見とは異なる教科書の文言を繰り返し,さっさと演壇から降りる.ヒトのために発表しているんじゃないよ,専門医をとるための代価なんだよと言わんばかりである.
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