Japanese
English
原著
褥瘡治療の予後因子の縦断的検討—急性期病院における褥瘡回診データの活用例
Longitudinal analysis of prognostic factors of pressure ulcer:Use of data in a single center
遠藤 雄一郎
1,2
,
松本 忍
3
,
宮地 良樹
2
,
戸田 憲一
1
Yuichiro ENDO
1,2
,
Shinobu MATSUMOTO
3
,
Yoshiki MIYACHI
2
,
Ken-ichi TODA
1
1北野病院皮膚科
2京都大学医学部附属病院皮膚科
3北野病院看護管理室
1Division of Dermatology, Kitano Hospital, Osaka, Japan
2Division of Dermatology, Kyoto University Hospital, Kyoto, Japan
3Division of Nursing, Kitano Hospital, Osaka, Japan
キーワード:
褥瘡
,
DESIGN-R
,
予後因子
Keyword:
褥瘡
,
DESIGN-R
,
予後因子
pp.12-17
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204271
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要約 褥瘡はさまざまな要因により引き起こされる慢性の皮膚軟部組織の損傷である.これまでの研究では褥瘡の予後に影響する因子は十分に検討されていなかった.本研究では,当院の院内発生の褥瘡症例について,予後因子を縦断的に検討した.2011年10月〜2012年6月に当院入院中に治療した仙骨部褥瘡患者101人(年齢73.1±13.8歳,男性58%,女性42%)を対象とした.28の予後因子の候補の状態を褥瘡発生時に記録した.また,褥瘡発生時と最終診察時にDESIGN-Rを記録した.まず,DESIGN-R得点改善および治癒を従属変数として予後因子の寄与を単変量の解析で検討した.次に,単変量解析で有意な寄与を示した因子について,多変量モデルで因子の寄与を推定した.その結果,栄養不良,るいそう,下痢,浮腫はそれぞれ独立した褥瘡の改善の予後因子と示唆された.また,DESING-Rの初期値は観察期間内の褥瘡の予後を予測しなかったが,DESIGN-Rの得点が発生時に悪い患者のほうが,下痢による創傷治癒の遅延の影響を受けやすい傾向であることが示された.1施設での入院中のデータからの結果という制約はあるが,入院環境では,栄養と排泄管理が褥瘡の予後因子として重要と考えられた.入院患者の褥瘡の治療と予防では,栄養から排泄までの一貫した管理が特に重要である.
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