Japanese
English
原著
悪性黒色腫初期病変の臨床所見—スナップ写真による検索
Clinical Features of Early Lesions of Cutaneous Malignant Melanoma--Investigation with Snapshots
斎田 俊明
1
Toshiaki SAIDA
1
1信州大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Shinshu University School of Medicine
キーワード:
悪性黒色腫
,
先行病変
,
早期発見
,
malignant melanoma in situ
,
dysplastic nevus
Keyword:
悪性黒色腫
,
先行病変
,
早期発見
,
malignant melanoma in situ
,
dysplastic nevus
pp.807-811
発行日 1989年7月1日
Published Date 1989/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204167
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
悪性黒色腫原発巣部が撮影されている過去のスナップ写真を患者に持参させ,これをもとにして先行病変の臨床所見を検討した,手掌原発の結節型悪性黒色腫症例では,初診の4年前に,大きさ約7×14mmの不整三角形状の濃褐色斑が存在していたことが確認された.顔面の悪性黒子症例では,初診の14年前に,直径約5mmの淡褐色斑が存在していた.2症例とも病歴上,先行病変は約30年前より存在していたと推定された.悪性黒色腫に先行して,しばしば認められる色素性病変について文献的考察を加えた上で,これらの先行病変の多くはdysplastic nevusなどの色素細胞母斑ではなくて,悪性黒色腫の初期病変そのもの,すなわちmalignant melanoma in situであろうとのわれわれの考え方を提示した.もし多くの悪性黒色腫がmelanoma in situの状態でかなり長期にわたり存在しているものとすれば,この段階での早期発見が不可能ではないことになる.悪性黒色腫の先行病変の本熊の解明が待たれる.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.