Japanese
English
原著
甲状舌管嚢胞の1例
A Case of Thyroglossal Cyst
大澤 幸一郎
1
,
小野田 進
1
Kouichiro OHSAWA
1
,
Susumu ONODA
1
1東邦大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Toho University School of Medicine
pp.425-428
発行日 1985年5月1日
Published Date 1985/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203251
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39歳,男性の胸骨上部にみられた甲状舌管嚢胞の1例を報告した.本症は胎生期における甲状舌管の遺残による嚢腫で,別名正中頸嚢胞とも呼ばれる.通常は舌骨を中心に認められるが,自験例のように胸骨上部にみられる例も少数報告されている.組織学的に本症は重層扁平上皮あるいは多列線毛上皮より成る嚢腫で,その細胞間にアルシャンブルー陽性物質を含んだ粘液細胞の介在をみる.甲状腺組織の迷入や自験例のようにリンパ濾胞様構造を認めることもある.甲状腺組織迷入例では乳頭状腺癌の発生が報告されており,全摘出術を施行することが望ましい.
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