Japanese
English
原著
多様性ポルフィリン症の典型例
A Typical Case of Variegate Porphyria
池澤 善郎
1
,
亀田 洋
1
,
塩之入 洋
2
,
大森 薫
3
Zenro IKEZAWA
1
,
KAMEDA YO
1
,
Hiroshi SHIONOIRI
2
,
Kaoru OMORI
3
1横浜市立大学医学部皮膚科教室
2横浜市立大学医学部第2内科学教室
3横浜市立大学医学部衛生学教室
1Department of Dermatology, Yokohama City University School of Medicine
22nd Department of Internal Medicine, Yokohama City University School of Medicine
3Department of Hygiene, Yokohama City University School of Medicine
pp.917-923
発行日 1984年10月1日
Published Date 1984/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203127
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31歳,女性.長期間にわたるバルビツール酸系薬剤,ピラゾロン系薬剤の連用および約半年間のホルモン療法などの薬剤によって発症したと思われる多様性ポルフィリン症(VP)を経験した.当初は多彩な腹部神経症状が出没し,その経過中にさらに循環器精神症状および皮膚光線過敏症を併発した.ポルフィリン(ポ)体の検査では赤血球のポ体が陰性で,糞便中のプロトポルフィリン(PP)とコプロポルフィリン(CP)が発症期,緩解期にかかわらず一貫して多量に排泄されていた.家系のポ体検査でも,1人の兄の糞便中に多量のPPとCPが認められた.以上より本症例は,臨床的にもポ体の代謝面からも典型的なVPと診断された.
本症例の皮膚症状は肉眼的にも組織学的にも,遅発性皮膚ポルフィリン症(PCT)のそれと同じであり,ポ体の代謝はPCTと異なるが,本症の皮疹の発症機構には基本的にPCTと同じ機序が働いているものと思われた.
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