Japanese
English
原著
重篤な蜂刺症の1例
A Severe Case of Hymenoptera Sting
吉江 治彦
1
,
松井 猛
2
Haruhiko YOSHIE
1
,
Takeshi MATSUI
2
1信州大学医学部皮膚科学教室
2信州大学医学部整形外科学教室
1Department of Dermatology, Faculty of Medicine, Shinshu University
2Department of Orthopedics, Faculty of Medicine, Shinshu University
pp.645-652
発行日 1978年8月1日
Published Date 1978/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201933
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重篤な局所反応と全身反応を呈した60歳男性の蜂刺症例を報告した.右手背をオオハキリバチに刺され,数時間後には右手が著明に腫脹して,水疱が多発,びまん性の皮下出血が出現した.その後右上肢全体に発赤,腫脹は波及した.10病日で右手は壊疽に陥り,16病日で右上肢に広範な皮下膿瘍を形成,22病日に右上肢切断術を施行した.全身反応も強く,受傷後約40時間目に高度のショック状態に陥り,回復後も腎障害,肝障害,嘔吐,多汗,高カリウム血症が一過性に出現した.その後約2カ月の長期にわたり,発熱,貧血,多尿,筋力低下,多発性口腔内潰瘍が続いた.蜂刺症では時として気道閉塞,アナフィラキシーショック,血管障害などの重症な全身反応を起こすことが知られている.しかし自験例のように強烈な局所反応と長期間持続する全身反応を呈した症例の報告は前例をみない.
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