Japanese
English
原著
B型ウイルス性肝炎の初期症状としてみられた非定型的蕁麻疹様紅斑
ATYPICAL URTICARIAL ERYTHEMA AS AN INITIAL SIGN OF VIRAL HEPATITIS TYPE B
斉藤 隆三
1
,
山手 哲明
1
,
新井 春枝
1
,
柏崎 禎夫
2
Ryuzo SAITO
1
,
Tetsuaki YAMATE
1
,
Harue ARAI
1
,
Sadao KASHIWAZAKI
2
1北里大学医学部皮膚科学教室
2北里大学医学部内科学教室
1Department of Dermatology, Kitasato University School of Medicine
2Department of Internal Medicine, Kitasato University School of Medicine
pp.853-857
発行日 1976年11月1日
Published Date 1976/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201652
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要約 HB抗原陽性肝炎,すなわちB型ウイルス性肝炎の初期症状として発熱,関節痛,一過性の発疹をみることがあり,これをSerum-sickness-like syndromeと呼ぶことがある.これはHB抗原に対する抗体と補体の関与によるimmune complexによるものと考えられ,黄疸の出現する前に起る現象である.
われわれは,慢性関節リウマチで通院加療中に,急速に関節痛の消褪と共に全身倦怠感と発熱を伴い,ほぼ全身に蕁麻疹様紅斑の出現をみた30歳主婦を診察する機会を得た.皮疹は瘙痒感が強く日毎に形,大きさに変化があり,下肢では出血性となるなど非定型的な蕁麻疹様紅斑であつた.約5日間の経過で皮疹は消褪し,その後に黄疸の出現,肝機能検査の異常,HB抗原陽性所見を得,B型肝炎と診断した.ウイルス性肝炎に伴う発疹について若干の文献的考察を行つた.
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