Japanese
English
原著
炎症を伴つた列序性表皮母斑の1例
A CASE OF INFLAMMATORY LINEAR EPIDERMAL NEVUS
岡 吉郎
1,2
Kichiro OKA
1,2
1長岡赤十字病院皮膚科
2新潟大学医学部皮膚科学教室
1Section of Dermatology, Nagaoka Red Cross Hospital
2Department of Dermatology, Niigata University School of Medicine
pp.985-989
発行日 1975年11月1日
Published Date 1975/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201514
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21歳,女子の項部,腋窩,鼠径部に線状配列を示す紅色,痂皮状鱗屑を有する皮疹を認めた.また本症例には鼠径部の皮疹に連続して,下肢に白色線状皮疹があつた.これらが生後まもなくに生じ,部位,配列像などにまつたく変化を示さないことから一種の母斑と考えた.組織学的には乾癬ないし慢性湿疹様の表皮肥厚,乳頭層と乳頭下層に拡張,充血した毛細血管と炎症性浸潤細胞およびその表皮内浸潤像などが認められた.種々の治療によつても毛細血管の拡張,充血によると思われる紅色色調は変化しないので,この血管の変化もこの母斑を構成する一つの基本的要素であると考えた.このような母斑を桐島は特異な型の表皮母斑として,列序性苔癬様母斑と同呼び,その独立性を主張したが,筆者もこれに賛成する.
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