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I.はじめに
NikolskyによりAkanthokeratolysisまたLapiereにより顆粒変性17)18)と称された組織学的変化は,水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症(以下b.c.i.e.と略す)の特徴的所見として,今日周知のことである。一方かかる変化が,時として或種角化母斑また掌蹠角化腫に認められることは,古くGassmann7)またVörner20)以来知られており,本邦においてもこの種角化母斑については,桐島29),福代26)の詳細な研究がみられる。しかしながら,b.c.i.e.といわゆる顆粒変性を示すこれら諸疾患相互の組織学的同一性また密接な臨床的関係が指摘されるに至つたのは,比較的近年のことであつて本邦に於ては未だこの点に関し,殆んど注目されていない。
筆者は当教室に於て,昭和35年以降昭和42年末までに,組織学的に検索し得た列序性疣状母斑9例を経験したが,そのうち3例に角化母斑を認め,しかもその3例全例にいわゆる顆粒変性を証明した。また臨床的に先天性掌蹠角化症と診断された1例にも,偶々同様の組織像を見出すことが出来た。よつて以上の4症例を一括報告し,いわゆる顆粒変性に関する最近の知見を紹介すると共に,b.c.i.e.とこれら諸疾患との関係を考察したいと考える。
Three cases of systematized keratotic nevi and one case of keratoma palmare et plantare hereditarium were reported. All of them showed so-called granular degeneration of epidermis histologically, which is characteristic for bullous type of congenital ichithyosiform erythroderma.
Relationships between the latter and two diseases, especially on so-called granular degeneration were discussed.
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