技術講座 病理
電顕用切片の染色法
福田 覚
1
Satoru FUKUDA
1
1東京大学医学部附属病院電子顕微鏡室
pp.713-719
発行日 1996年8月1日
Published Date 1996/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902847
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
新しい知見
エネルギー選択結像法(electron spectroscopic imaging;ESI)という電顕用無染色切片の観察法が発表された1).これは,試料を透過した加速電子が分光のための磁場中を通過した後,いろいろなエネルギーに分けられ,特定のエネルギーに選択した電子で電顕像を作るという方法である.
電子顕微鏡の中間レンズと投射レンズの間にフィルターが組み込んであり,ここを通過する電子はγ(ガンマ)のような軌道を描くのでγ型フィルターと呼ばれている,ESIを使い,エネルギーを連続的に変化させたところ,無染色の超薄切片は250eVのとき最も良好なコントラストがついて観察されたと報告されている.二重固定し,通常の標本作製を行っで作った切片は電子染色しないですぐ鏡検できることになる.明るさとコントラストが自由に調節できる電顕像の可能性へ近づいたように思われる.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.