〈原著論文抄録〉
Weber-Christian病における免疫学的検討,他
金子 史男
1
,
伊藤 俊輔
1
,
永井 盛人
1
1北海道大学医学部皮膚科
pp.175,177
発行日 1972年2月1日
Published Date 1972/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200952
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Weber-Christian病の本能は不明であるが,本症患者に慢性細菌感染症を伴うことが多く,局所病巣部の組織学的所見には血管炎,血管壁フィブリノイド変性が認められることから感染アレルギーの関与が推定される.
著者らはWeber-Christian病の1例,25歳女子に,2,3の免疫学的検索を行なつた.すなわち,躯幹,四肢の結節性紅斑様皮疹は組織学的にリンパ球,組織球を中心とする脂肪織炎と,血管壁のフィブリノイド変性を,末梢血では著るしい貧血と,白血球減少,特にリンパ球の減少をみた.骨髄ではリンパ球系の軽度の減少,顆粒球系の成熟抑制,赤芽球系の優性を示していた.全経過中を通じて,気管支炎,肺炎,帯状疱疹などの細菌,ウイルス性感染症に罹患しやすく,血清抗体では免疫グロブリンの上昇と,補体系の減少がみられ,細胞免疫系ではツベルクリン反応の陰転化,著明な血中リンパ球の減少を示していた.リンパ球培養によるPHA反応は軽度の低値を示した.DNCBによる皮膚感作は不成立であつた.剖検は出来なかつたが,文献的に本症のリンパ節,脾の組織所見報告ではリンパ沪胞の極度の萎縮が証明されている.
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