印象記
大きく一歩前進—日本皮膚科学会第69回総会
川村 太郎
1
1東京大学医学部皮膚科
pp.893-896
発行日 1970年9月1日
Published Date 1970/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200707
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日本皮膚科学会の社団法人の定例総会と,これと同時期に開かれる学術大会との両者をわれわれは漠然と総会と呼んでいるが,本誌は学術雑誌であるから,総会という意味は毎年1回開催される学術大会と解してよかろう。本年は熊本大学教授中村家政教授会頭,熊本市民会館を使用,設備万端申し分なかつた。
明年の日本医学会から割り当て予定の会場は,これに比べてかなり見劣りのすることをこの機会に記し,あらかじめご了承をお願いしたい。学術大会の意義についても人それぞれの考え方があろうが,スライドをみながら話をきき,質疑応答し,展示をみながら意見を交わし,廊下でだべつたり,懇親会でアルコールの入つたところでうちとけるというような機会が,同じ専門の医師の間にあるということの意義は大きいと思う。大会の途中で会頭にうかがつたらすでに参会者が800名をかなりこえていたようだつたから,全ての人と親しく話すということはもちろんできるはずもないが,新しい知己を得たり,古いつき合いを深めるということの効果は大きかつたと思う。人間はとかく井の中の蛙になりやすい。一口に皮膚科医といつても大学人,勤務医,開業医その他それぞ異なる環境に住み,また年齢や考え方も異なつているが,共通の興味である皮膚科学を通じてややもすれば閉じこもりがちな小さな城廓から抜けでるということが,人間としても大切であろうし,臨床医学の発展のためにも欠くことのできないものではなかろうか。
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