学会印象記
第60回日本皮膚科学会総会印象記
長島 正治
1
1慶応義塾大学医学部皮膚科
pp.730-731
発行日 1961年8月1日
Published Date 1961/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203116
- 有料閲覧
- 文献概要
第60回日本皮膚科学会総会は,昭和36年5月17日より3日間にわたり,長崎大学北村精一教授会頭にて,原爆ゆかりの地長崎国際文化会館ホールにて盛大に開催された。本総会は,1901年第1回日本皮膚科学会が開かれてより既に60星霜を経,ここにその60週年を記念して行われたため,数々の記念行事が催され,且つ学術講演も我が国皮膚科学研究機関の所謂「御家芸」とも称すべき課題を主として行われた。従つて,スライドによる症例供覧はなく,一般演題も多くは誌上発表となり,比較的ゆつくりとした学会であつた。学会のあり方として,一つの行き方を示したものと信ずる。
第1日(5月17日)は,橋本(昭医大)の組織培養皮膚細胞の生体染色に関する演説から開始され,組織培養皮膚細胞中の顆粒状物質の主としてヤーヌス緑,中性赤等による染色態度が,映画により紹介された。ミトコンドリア或はメラニン等の組織培養方面からの検索が大いに期待される。ついで島(弘前大)は,疣贅,鶏眼,乾癬等の異常角化皮膚の組織化学的所見を,また田中(新大)は,正常皮膚,尋常性痤瘡,脂腺母斑等の脂腺及びその周辺のエステラーゼ,フォスフォリラーゼの態度を説明して,一般に尋常性痤瘡の脂腺は,正常時より強い酵素活性を有するとのべた。
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.