〈原著論文抄録〉
Wegener's Granulomatosis,他
山口 淳子
1
1東京医科歯科大学皮膚科教室
pp.837
発行日 1968年7月1日
Published Date 1968/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200381
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1936年ついで1939年にWegenerの報告した気道,とくに上気道の進行性壊死性過程が先行し,全身に散布性病巣,とくに腎に障害のみられることの多い疾患について,病理学的に検討し,壊死性鼻炎よりこれを分離,一独立疾患とした。Wegener's granulomatosisにつき本邦の報告例73に自験例を加え外国例との比較を行つた。
34歳女子,約6年前,慢性副鼻腔炎様の症状で始り,診断のはつきりしないまま下鼻甲介からの試験切除にて本症と診断され,以来鼻症状に加え眼,尿,血液,関節などの全身症状が出現し大量鼻出血にて本学耳鼻科に入院。当科初診時,鞍鼻,顔面浮腫があり頭,前額,顔面,両耳後,両前腕,両手背部に米粒大から示指頭大の水疱の多発をみとめ,両指背,下腿,両膝蓋部,肘頭,足関節には痂皮を有する壊死性丘疹の散在をみとめた。組織学的には下鼻甲介の組織は巨細胞性肉芽腫様像を示し,前腕部小水疱のそれは壊死性血管炎様像を示した。自験例を含め74例についての考察では,男女別では大差なく,30代に頻発し,臨床像としては鼻,眼,腎の症状のそろつているものがもつとも多く,皮膚では露出部位に潰瘍,紅斑,出血斑,水疱などを示すものが多く,又1年前後の死亡率が高かつた。なお発熱,関節症状,血液および血清所見,赤沈の促進,血圧,心電図所見,胸部レントゲン検査などについても考察を行つた。
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