Japanese
English
展望
皮膚の末梢神経病理
THE NEUROMORPHOPATHOLOGY OF THE SKIN
奥村 雄司
1
Yuji OKUMURA
1
1大阪大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Osaka University School of Medicine
pp.123-135
発行日 1967年2月1日
Published Date 1967/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200093
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Ⅰ.はじめに
皮膚の末梢神経は,昔から,染め出すことは非常に困難なものとされていて,末梢神経の鍍銀法を習う研究者も,教える側の人も,まず,内臓,特に骨骼筋の運動神経などを染めだすことを習熟し,その後,皮膚の末梢神経の検出にとりかかつた,ということである。しかし,このような悠長なことでは,進歩していく各分野の病理に対して皮膚の末梢神経の病理の分野のみが,とり残され,おくれるばかりである。筆者は幾多の先人達の業績〔文献1)の参考文献参照〕を踏台として,皮膚を取扱う上で,極めて安定した検出能力を有する鈴木氏鍍銀法パラフィン切片蟻酸前処置法を選び,臨床家向きの固定した一つの方法をH.E.染色のような便利なものとして重宝している1)。本法であれば,文献1)に記載した通りに施行すれば,全く初めて鍍銀検出する人でも「病理」を扱う上での,一定の水準の標本が得られ,診断の助けが得られ,更には,治療に対する示唆までも得ることができる。極言すれば,皮膚末梢神経形態病理学は診断よりも,むしろ,治療の考察に甚だ有意義なものであるといえよう。
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