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文献紹介 フィラグリン発現を亢進させることによるアトピー性皮膚炎の新しい治療戦略
安田 文世
1
1慶應義塾大学
pp.698
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412104111
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アトピー性皮膚炎患者の約20~30%でフィラグリン遺伝子の異常があり,またほぼすべてでフィラグリン蛋白が低下していることが知られる.本論文ではフィラグリン培養表皮細胞を用いて1,000以上の市販の化合物ライブラリーから,フィラグリンの発現を亢進させる物質をスクリーニングし,JTC801という物質を発見した.この化合物を加えると,培養表皮細胞のプロフィラグリンの発現を上昇させ,ヒトの皮膚に近い構造を持つ3次元表皮培養ではフィラグリン蛋白の発現が亢進し,フィラグリンモノマーの産生が上昇した.さらにフィラグリン遺伝子のヘテロ変異マウス(flaky tail mice)にJTC801を皮下注射したところ,フィラグリンの発現が上昇していることがわかった.アトピー性皮膚炎の動物モデル(NC/Nga mice)にJTC801を内服投与させた群では非投与群に比べ皮膚のフィラグリン蛋白の発現亢進がみられた.この発見から,フィラグリンをターゲットとした新たな治療法の開発が期待される.
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