--------------------
文献紹介 アトピー性皮膚炎患者におけるシクロスポリン長期内服治療の効能と安全性
藤尾 由美
1
1慶應義塾大学
pp.233
発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103206
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
近年,重症のアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)に対してシクロスポリン(CyA)の内服治療が行われるようになった.CyAの短期間内服についての報告は散見されるが長期内服についての報告は少ない.今回韓国においてCyAの長期療法の安全性を評価するための追跡調査が行われた.抗ヒスタミン剤,ステロイド剤外用に加え,平均2.7mg/kgのシクロスポリンを6か月以上投与し症状を比較した.全症例における平均SCORADスコアは6か月後には開始前の半分にまで改善,また重症度別の比較では,重症および中等症のいずれの群においても1か月後には半分の値にまで低下した.
また,内因性ADと外因性ADの比較ではいずれもSCORAD値は半年後に半減し,グループ間に有意差はなかったが,外因性ADの76%でIgEの低下がみられ,全体の平均としては47%の低下がみられた.シクロスポリンとIgE値に関してはさまざまな議論があるが,今回の追跡調査にて内因性ではIgE値に変化がなかったことから,CyAの治療効果がIgE値を低下させる以外のメカニズムにもあることが示唆されたとしている.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.