Derm.2014
目指せ! 顔の見える医療連携
多田 弥生
1
1帝京大学医学部皮膚科
pp.82
発行日 2014年4月10日
Published Date 2014/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412104002
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真の医療連携というものを恥ずかしながら,最近までわかっていなかった.実際にその重要性と楽しさを実感したのはここ数年である.開業医の先生方は画像検査もない,迅速採血もできない状況で,長年の経験と知識をたよりに診断,治療をされている.ちょっとこれは,と思う症例は病院皮膚科の出番である.他科との連携,高度な検査設備,人手,即日入院できる病床を背景に診断,治療をして,紹介元へお返しする.そして,次回紹介元の先生とお会いしたときには,やはり,「あの」症例がお互いに気になっていて,すぐに話がはずむ.難しい症例の「その後」を医師同士で情報共有することは地域の医療レベル向上にもつながる.難しい症例を拾ってくださり,紹介してくださる先生がいて初めて,病院,そして私たち勤務医の臨床能力も上がる.こうした患者は落ち着いても定期通院を余儀なくされることがほとんどである.信頼できる,患者が通いやすい紹介元の先生にお戻しすることで,患者も継続通院してくれる.お忙しい外来のさなかに,なかには大変丁寧な紹介状,こちらからの逆紹介状に対する返事をくださる先生もいらっしゃる.頭が下がるし,「よろしく!,の一言で大丈夫です!」と申し上げたくなる.大学病院の教授にはご自身で生検の所見を書いて,紹介元へ返信される先生もいらっしゃると聞く.自分はまだまだである.開業医の先生方は軒並み,大先輩である.先輩方が大切な患者を安心して任せられる勤務医になりたい,地域の患者を一緒に支えたい,その一心で勉強する毎日である.帝京大学病院は大きい病院で地域の守備範囲も広い.勉強になる.ありがたい.この地で「顔の見える医療連携」をしっかり行っていきたいと思う.
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