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文献紹介 Pyrinのgain-of-function変異はマウスにおいてNLRP3非依存的にIL-1β活性と重篤な自己炎症を引き起こす
西本 周平
1
1慶應義塾大学
pp.149
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103549
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家族性地中海熱(familial Mediterranean:FMF)の原因遺伝子として知られるMEFVはインフラマソームを制御するpyrinをコードしているが,その遺伝子変異による発症のメカニズムについて明らかではない.Pyrin欠損マウスおよびFMFで報告されている遺伝子変異を有するB30.2ドメインをノックインしたマウスを作成した.欠損マウスでは症状の出現はなく,ホモ変異ノックインマウスにおいてヒトのFMFに類似した,より激しい炎症が骨髄依存的に生じた.ノックインマウスのマクロファージにおいてcaspese-1の常態的な活性化により,LPS単独刺激で活性化IL-1βの分泌がみられ,これはFMF患者と同様であった.ノックインマウスの炎症によるフェノタイプはIL-1R欠損マウスとの交配,およびインフラマソームのアダプター分子であるASC欠損マウスとの交配により完全になくなったが,NLRP3欠損マウスとの交配ではなくならなかった.これらのことから,gain-of-functionによるPyrin変異はASC依存的,NLRP3非依存的に自己炎症性疾患を引き起こすことがわかった.
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