Japanese
English
症例報告
吸収不良症候群による低栄養状態においてみられた皮膚症状
Skin lesions under malnutrition due to malabsorption syndrome
吉成 康
1
,
小林 亮
2
,
井村 満男
3
Yasushi YOSHINARI
1
,
Ryo KOBAYASHI
2
,
Mitsuo IMURA
3
1焼津市立総合病院皮膚科
2焼津市立総合病院外科
3焼津市立総合病院代謝内分泌科
1Division of Dermatology, Yaizu City Hospital, Yaizu, Japan
2Division of Surgery, Yaizu City Hospital, Yaizu, Japan
3Division of Diabetes, Metabolism and Endocriology, Yaizu City Hospital, Yaizu, Japan
キーワード:
亜鉛欠乏
,
壊死性遊走性紅斑
,
吸収不良症候群
Keyword:
亜鉛欠乏
,
壊死性遊走性紅斑
,
吸収不良症候群
pp.723-727
発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103389
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 50歳,女性.初診の約5年前,胃癌に対し膵頭十二指腸切除術を施行された.その後の定期検査にて脂肪肝および膵臓の石灰化を指摘されていた.約3か月前から体重減少と下肢の浮腫が出現し,さらに両下肢に境界明瞭な疼痛を伴う紅斑がみられたため,当科を受診した.ステロイド外用剤では改善せず,皮疹はさらに悪化して,背部,臀部に環状~地図状の落屑を有する紅斑が出現し,壊死性遊走性紅斑様の皮疹となった.摂食状況は良好で栄養状態は良いと考えていたが,血液検査では血清亜鉛値34μg/dl(正常値:59~135),プレアルブミン5mg/dl(22~40)と低下していた.またPFD試験37.4%(73.4~90.4),1日尿中CPR 1.7μg/日(23~155)であったことから,非代償期の慢性膵炎による吸収不良症候群と糖尿病と診断した.胃や十二指腸の手術後では,慢性膵炎から吸収不良症候群を合併し,栄養障害に起因した多彩な皮膚症状を呈することがある.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.