Japanese
English
症例報告
皮膚腺病の1例
A case of scrofuloderma
菊澤 亜夕子
1
,
尾藤 利憲
1
,
岡 昌宏
1
,
錦織 千佳子
1
Ayuko KIKUSAWA
1
,
Toshinori BITO
1
,
Masahiro OKA
1
,
Chikako NISHIGORI
1
1神戸大学大学院医学系研究科内科系講座皮膚科学分野
1Division of Dermatology,Department of Internal Related,Faulty of Medicine,Kobe University Graduate School of Medicine,Kobe,Japan
キーワード:
頸部
,
皮膚腺病
,
高齢者
,
皮膚結核
Keyword:
頸部
,
皮膚腺病
,
高齢者
,
皮膚結核
pp.537-541
発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103339
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要約 77歳,女性.1か月前より,徐々に増大する頸部の紅色腫瘤を主訴に受診した.右頸部に小指頭大と母指頭大の柔らかい紅色腫瘤を2個認め,ともに中央部が自壊排膿していた.熱感や圧痛などの炎症所見は乏しく,転移性皮膚癌やリンパ腫を考え皮膚生検を行った.病理組織学的に好中球を中心とした著明な炎症細胞を認め,乾酪壊死像は明らかでなかった.組織培養検査を実施したところ,組織の抗酸菌塗抹検査は陰性だったが,培養検査でMycobacterium tuberculosisが同定され,皮膚腺病と診断した.胸部X線像にて陳旧性結核像を認めたが,活動性の肺病変はなく,リンパ節からの皮膚浸潤と考えた.イソニアジド,リファンピシン内服にて速やかに寛解した.本邦では,肺結核が減少しているにもかかわらず,皮膚結核は減少しておらず,その理由として病気を抱えた高齢者を代表とする免疫低下者の増加が考えられる.結核の減少とともに皮膚結核も頻繁にみられる疾患ではなくなっているが,決して過去の疾患ではないことを常に念頭に置くべきであろう.
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