Japanese
English
症例報告
変形性関節症の膝付近に多発した皮膚限局性ムチン沈着症の1例
A case of multiple cutaneous focal mucinosis on the knee with osteoarthritis
西村(平井) 千尋
1
,
五味 博子
1
,
石井 健
1
,
早川 和人
1
,
山崎 一人
2
,
石田 康生
2
Chihiro NISHIMURA(HIRAI)
1
,
Hiroko GOMI
1
,
Ken ISHII
1
,
Kazuhito HAYAKAWA
1
,
Kazuto YAMAZAKI
2
,
Yasuo ISHIDA
2
1帝京大学ちば総合医療センター皮膚科
2帝京大学ちば総合医療センター病理部
1Department of Dermatology,Teikyo University Chiba Medical Center,Chiba,Japan
2Department of Pathology,Teikyo University Chiba Medical Center,Chiba,Japan
キーワード:
cutaneous focal mucinosis
,
皮膚限局性ムチン沈着症
,
変形性膝関節症
,
ヒアルロン酸
,
注射
Keyword:
cutaneous focal mucinosis
,
皮膚限局性ムチン沈着症
,
変形性膝関節症
,
ヒアルロン酸
,
注射
pp.115-119
発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103167
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要約 79歳,女性.数年前より両側変形性膝関節症に対し,近医で両膝にヒアルロン酸の関節腔内投与を受けていた.最終投与2か月後より左膝蓋に皮疹が出現した.初診時小豆大までの表面平滑な紅色丘疹が多発しており,粘性の黄色・透明な内容液の排出をみた.皮膚生検組織像では,表皮直下に境界明瞭な病変を認め,内部にはヒアルロン酸と考えられる淡青色の無構造物質が沈着するほか,線維芽細胞様細胞,膠原線維を認めた.以上より皮膚限局性ムチン沈着症(cutaneous focal mucinosis:CFM)の多発例と診断した.皮疹は一時的に増大・融合したが約1年間の経過で消退し,その後,再発はない.関節上にCFMを生じた報告の多くは関節リウマチ患者であり,変形性膝関節症の関節上にCFMが生じた既報告はない.自験例では変形性膝関節症に基づく滑膜,滑膜包の炎症や注射という機械的刺激の繰り返しが発症要因として推測された.
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