Japanese
English
症例報告
TS-1®によるDLE型薬疹の1例
A case of DLE-like eruption induced by TS-1®
長谷川 文子
1
,
小川 浩平
1
,
福本 隆也
1
,
小林 信彦
1
,
浅田 秀夫
1
Ayako HASEGAWA
1
,
Kouhei OGAWA
1
,
Takaya HUKUMOTO
1
,
Nobuhiko KOBAYASHI
1
,
Hideo ASADA
1
1奈良県立医科大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology,Nara Medical University,Nara,Japan
キーワード:
薬疹
,
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS-1®)
,
フルオロウラシル
,
DLE型皮疹
Keyword:
薬疹
,
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS-1®)
,
フルオロウラシル
,
DLE型皮疹
pp.768-772
発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103046
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 67歳,男性.肝細胞癌に対してTS-1®内服を開始したところ,約2週間後より露光部を中心に軽度の角化を伴う紅斑,丘疹が出現した.病理組織学的に,表皮真皮境界部の液状変性,付属器周囲のリンパ球浸潤,真皮内のムチン沈着を認めた.蛍光抗体直接法は免疫グロブリンおよび補体の沈着を認めなかった.血液検査で抗SS-A抗体12.2U/ml(初診から6週間後)と軽度上昇を認めた.5-FU軟膏®(as is,10% pet),TS-1®(10% pet)による貼布試験,光貼布試験はいずれも陰性で,TS-1®によるDLST(薬剤リンパ球刺激試験)も陰性であった.病歴と臨床所見よりTS-1®によるDLE型薬疹と診断し,薬剤の中止とアルメタ軟膏®(プロピオン酸アルクロメタゾン)外用により約4週間で皮疹は消退した.皮疹の発症機序として,薬剤によるケラチノサイトへの直接傷害のほか,紫外線による基底細胞への障害,自己免疫的機序などが関与しているものと推察された.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.