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特集 最近のトピックス2010 Clinical Dermatology 2010
1. 最近話題の皮膚疾患
腎性全身性線維症―本邦例のまとめと診断のポイント
Nephrogenic systemic fibrosis:A summary of the Japanese cases and a point on diagnosis
三橋 善比古
1
Yoshihiko MITSUHASHI
1
1東京医科大学皮膚科
1Deaprtment of Dermatology,Tokyo Medical University,Tokyo,Japan
キーワード:
腎性全身性線維症
,
NSF
,
ガドリニウム
,
MRI
Keyword:
腎性全身性線維症
,
NSF
,
ガドリニウム
,
MRI
pp.18-22
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102568
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要約 腎性全身性線維症(NSF)は,腎不全患者にgadolinium(Gd)を用いた造影MRI検査を行った後に生じる新しい疾患である.四肢末端の皮膚硬化と拘縮を特徴とする.欧米では400例以上の登録があるが,本邦の報告例は少ない.今回,本邦の確実例9例をまとめたところ,検査後1,2週で発症する急性型と,1年以上経って発症する遅発型があり,皮膚所見も異なることが明らかになった.慢性型は緩徐な皮膚硬化を示すが,急性型では硬化に加えて丘疹や角化局面を形成していた.これらの点を考慮して,本邦のNSFに対する診断の手引きを提示した.本症に対する認識が高まり,高リスク腎不全患者に対するGd造影剤の使用が減ると,急性型は減ることが予測される.しかし,遅発型と,急性型が慢性期に移行した患者はこれからも現れると思われる.NSFは皮膚所見が診断の決め手になるので,皮膚科医の果たす役割は重要である.
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