Japanese
English
症例報告
イソソルビドによる多形紅斑型の薬疹の1例
A case of erythema multiforme-type drug eruption due to isosorbide
井上 雄介
1
,
小野田 雅仁
1
,
小岩 克至
1
,
相原 道子
1
,
池澤 善郎
1
Yusuke INOUE
1
,
Masahito ONODA
1
,
Katsuji KOIWA
1
,
Michiko AIHARA
1
,
Zenro IKEZAWA
1
1横浜市立大学医学部環境免疫病態皮膚科学教室
1Department of Dermatology,Yokohama City University School of Medicine,Yokohama,Japan
キーワード:
イソソルビド
,
薬疹
,
多形紅斑型
Keyword:
イソソルビド
,
薬疹
,
多形紅斑型
pp.991-994
発行日 2009年12月1日
Published Date 2009/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102463
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要約 85歳,女性.転倒による慢性硬膜下血腫に対し,イソソルビドを18日間投与された.投与中止2日後,前胸部にそう痒を伴う紅斑が出現し,次第に全身に拡大した.6日後には発熱と全身倦怠感とともに円形の浮腫性紅斑が多発融合し,非典型target lesionを認めた.病理組織像では,表皮に海綿状態と基底層の液状変性が,真皮上層には血管周囲性にリンパ球を主体とした炎症細胞浸潤がみられ,一部には好酸球を混じていた.イソソルビドによる多形紅斑型薬疹を考え,ステロイド薬の全身投与を行い,約2週間の経過で治癒した.発症1か月後の同薬によるパッチテストでは,ICDRG基準で48時間後,72時間後ともに+?,DLSTではSI0.94であった.イソソルビドはソルビトールの誘導体で,浸透圧利尿薬として頭部外傷などに起因する脳圧亢進時の降圧効果,Ménière病の治療薬として用いられている.同剤による薬疹は稀であり,多形紅斑型の薬疹は報告されていない.
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