Derm.2007
新たな夢を追って!
赤松 浩彦
1
1藤田保健衛生大学医学部皮膚科
pp.82
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412101649
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ニキビとの出会いは1986年,関西医科大学皮膚科学教室に入局したときにさかのぼる.当時,朝田康夫教授(現・名誉教授,朝田皮膚科院長)の専門がニキビであったからである.さらに西嶋攝子先生(現・西嶋皮膚科院長)や留学先のベルリン自由大学皮膚科学教室,当時の主任教授であったオルファノス先生などからご指導をいただき,いつの間にか専門がニキビとなった.2002年より藤田保健衛生大学医学部皮膚科学講座にお世話になり,松永佳世子教授のもと,小生の夢の一つである“ニキビ撲滅”に向けて今も日々研鑽している.
一方,最近新たな興味もでてきた.それは再生医療である.倫理面を考慮したうえで多能性幹細胞を制御できるようになれば,医療は飛躍的に進歩・発展できる可能性がある.そのためには自己の多能性幹細胞を効率よく分離し,特殊な培養技術によりさまざまな細胞に分化誘導した後,再度自己へ移植する技術の開発が課題となる.これらの工程における新技術の開発のためにも“分離培養”,“分化誘導”,“移植”を含む3つの技術を確立することが重要である.“分離培養”に関しては,p75NTRを利用した皮下脂肪組織からの多能性幹細胞の分離技術を開発し,すでに特許出願した.“分化誘導”に関しては,p75NTRを利用して得られた皮下脂肪組織からの多能性幹細胞の脂肪細胞,線維芽細胞,色素細胞,神経細胞などへの分化誘導を確認している.まだまだ臨床応用までへの道のりは遠いが,社会貢献の可能性を考えれば努力する価値ある研究だと思う.
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