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急速眼球運動(サッケード)の機能検査としての役割
中村 正
1
1山形県立中央病院耳鼻咽喉科
pp.505-515
発行日 2002年7月20日
Published Date 2002/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902586
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はじめに
聴覚系,前庭系および眼球運動系が後頭蓋窩背側部領域の主要な系として存在しているため,この3系は後頭蓋窩領域の機能評価法として重要な役割を果たしている。この中で,眼球運動は記録・解析が比較的容易であり刺激に対して理論的な反応が期待できることなどから,聴覚系,前庭系とともに中枢神経系機能を定量的に評価できる数少ない“ツール”といえる。しかも,眼球運動系は前庭系と密接な関連を持っているため,われわれ耳鼻咽喉科医がこの分野に果たす役割は大きい。
ところで,眼球運動系は,滑動性眼球運動あるいは視運動性眼振に代表される緩徐な眼球運動と,ある点から別の点に視線を急激に移動するときに起こる急速眼球運動に大別されている。緩徐な眼球運動は,追跡眼球運動検査および視運動性眼振検査として臨床の場でしばしば利用されているが,後者の急速眼球運動は平衡機能検査では視刺激検査の1つとして確立されているものの,広く認知されているとはいい難い。
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